2010年4月4日日曜日

父の七回忌に想う

4月2日は父の七回忌の命日、6年前の葬儀の日は4日であった。
のどかな素晴らしい春日和で、山桜を参会者たちで愛でた。



― ねがはくは花のしたにて春死なんそのきさらぎの望月の頃 ―

西行法師



これは、西行法師の「山家集」の花の歌群に入っている歌で、

生前、父が好んでいたものだ。

大の桜好きで、庭にを配し、春は縁側で

がのぼるとよく眺めていた・・・。


海軍に配属していたときわずか父は20歳、ジャワ沖で爆撃に遭った。

ちょうど甲板に出ていたときだったらしい。

幸いというべきか、その甲板とともに海上に投げ出され、

数十名がその甲板の上に避難した。


数週間漂流し、サメや飢えと戦い生き延びた。

仲間がどんどん死んでいき、僅か四人がそのいかだに残った。

気が遠くなり始めたころ、通りかかった英国商船に助けられたらしい。


その話を聞かされるたびに、あのとき父が戦死していたら

父母の結婚もなく、もちろん今の私は存在しない・・・

子供ながらにかけがえのない「いのち」を戴けた不思議を思った。


その父が、願いどおりに『西行法師の命日』平成16年4月2日、

(旧暦二月十五日)に逝去した。


願望は成就する、不思議だ。


そして極めつけ、その夜は煌々と輝くすばらしい満月・・・。


告別式は山も山寺も境内もいちめんの桜・桜・桜・・・

空は真っ青に澄み渡り、参列の人々の感嘆の声があちらこちらに響いた。


父が私たちに残してくれた最高のプレゼント。

それは毎年、を観ながらみんなで父を偲ぶ会。

 と 桜 と 


お父さん、ほんとうにありがとう・・・。



大好きだった山桜






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